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『崩れる』出演者 – 深海哲哉

 

広島県出身、1976年生まれ。

広島県広島市出身・在住。劇団グンジョーブタイ主宰。
地元の広島でグンジョーブタイを旗揚げ。2019年よりアマヤドリに参加。「やがて二人は部屋を出る」に出演。

 

 

Interview

  ───まずは深海さんの演劇歴から伺っていこうと思います。俳優業はもう二十年近くやっていらっしゃることになるでしょうか

 

深海 二十年は、まだ行っていないですね。そして最初は映像の方の仕事をやっていて、演劇は三十歳からです。

  ───演劇をはじめるきっかけというのは何だったのでしょう

 

深海 或るCMで共演した女優さんに、「今度舞台やるんだけど、出てみない?」と誘われたのが最初です。映像での仕事の経験があったので舞台もできるかな、という見込みで参加したんですけれど、それはもう、めちゃくちゃにされまして。根本からのダメ出しというのをどんどん出されて、難しいことはたくさんあったんですが、でも、それがすごく充実した経験だったんですね。そこから演劇にのめり込んでいったという経緯です。

  ───そこから劇団(グンジョーブタイ)を立ち上げるというところまでのめり込む、というのもすごいと感じます。深海さんが劇団を立ち上げる前後の流れというのもお聞きしてよいでしょうか

 

深海 三十歳で舞台に立ってから、ずっと広島で、客演で呼んでもらってっていうかたちで演劇をやっていたんですけれど、そこでたびたび共演する女優の方がいて、その人と「何かやってみたいね」と意気投合して、「じゃあ、やろうか?」と結構軽いノリで自分たちの団体を立ち上げたという流れです。公演を直接目的にするというより、何かしら演劇にまつわる企画をやれる団体を作ろう、という考えで劇団を作りました。

  ───でも、はじまりは軽いノリだったとしても、(グンジョーブタイの公演を観に広島へ行った)広田さんに伺った話では、かなりお客さんが入っていたということでしたし、地方で演劇をやる、劇団をやる、という点で、深海さんのなかに確たるヴィジョンがあったのではないかという気もするのですが

 

深海 僭越にはなるんですが、自分のところが広島で一番お客さんを呼んでいる団体だとは思います。とはいえ、地方で演劇をやるということに、特別の意識はなかったです。選択肢としては東京に出て演劇をやるということもあったかもしれないですが、劇団の立ち上げメンバーも広島住まいで、この場所でずっと演劇をつづけていきたいなと考えたときに、純粋に広島の人にもっと演劇を身近に感じてもらいたいと思って、活動をつづけてきた感じです。

  ───俳優としてだけでなく、企画側、主宰、演出家として演劇にかかわる際には、単に現場に対応するのではなく、「こういうものを見せたいんだ」という意志が入ると思うんですね。それは広田さん・アマヤドリだったら、現代口語での動きのあるリアリズム劇、というカラーの一貫性があったりしますが、深海さんもまた、劇団の主宰・演出家として、「こういうものを見せたい」という活動の方向性はあったりするでしょうか

 

深海 劇団のカラーやジャンルというのは、劇団を作った当初そこまで明確にあったわけではなかったです。最初にあった動機は、東京の公演であったりツアー公演であったり、自分たちが出会って面白いなと思った作品を、自分たちの劇団でも上演したい、ということでした。ですので、「世の中にはこんなに面白い演劇、戯曲があるのに、広島の人がそれを観ないままでいるのはもったいないじゃないか」というところからはじまって、グンジョーブタイは、広島でまだ上演されたことのない面白い戯曲というのを舞台に掛ける、ということをくり返しくり返しやってきています。自分たちが「これは面白い」と判断したこの価値観を、共有してくれる人がいるんじゃないか、という気持ちで。

  ───ということであれば、やはり、深海さんの鑑賞眼、批評眼といったところにグンジョーブタイの一貫性があるのかもしれません。そのような深海さんにとって、俳優としての演技観はどのように言語化されているのか、伺ってもよいでしょうか

 

深海 自分は大枠で言うと、作品のなかで「違和感のない」存在であることを目指しています。観客として観たときに違和感を感じてほしくないと思っていて。「なんでそういう動きをするの?」「なんでその台詞がそういうトーンになるの?」というふうに、作品の本質でないところで疑問を持たれたくない。やっぱり優れた俳優さんであれば、違和感を感じさせずに作品そのものに集中させるということができていると思うんですね。もちろん作品によっては、例えば不条理劇のようなものであれば全然基準がちがってきますが、大枠としては、そういう違和感のなさを理想としています。

 

───なるほど。それもまた俳優というより演出家の視点に近いのかなと感じます。『崩れる』では、そんな深海さんの舞台上での違和感のなさ具合にも刮目したいと思います

 

アマヤドリ 20周年記念公演 第一弾

『崩れる』

 作・演出 広田淳一

2021年 11月4日(木)~8日(月)
@シアター風姿花伝(東京公演)
2021年 11月13日(土)

@パティオ池鯉鮒・知立市文化会館│花しょうぶホール(愛知公演)

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