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『崩れる』出演者 – 河原翔太

 

広島県出身、1997年生まれ。

大学の授業で英語劇に出会い、演劇を始める。
2018年、広島の劇団グンジョーブタイに入団。
2020年に上京、2021年アマヤドリに入団。

 

 

Interview

  ───俳優紹介インタヴューとして、河原さんには演劇歴といったことから訊いていきたいと思います。劇団員プロフィールを拝読するかぎりでは2018年から、約三年ほど演劇をやってらっしゃる

 

河原 その2018年が大学の三、四年の頃なんですが、それより前の大学の二年のとき、授業で英語劇をやったことがあって、それが演劇に触れたきっかけでした。その英語劇が面白くて、そのあと自分で英語劇をやるサークルを立ち上げて、サークルで二年ほど活動したのち広島の劇団に入った、という経緯です。

  ───劇団に入られた最初の公演では、作・演出をやられていますね

 

河原 僕が劇団に入ったちょうどそのとき劇団でやっていた企画が、作・演出を劇団員がやるというものだったので。「じゃあ、僕もやっていいですか」と手を挙げて、やることになりました。ただ、その企画の別の作品では俳優として出演するということもしています。

  ───河原さんの自己規定としては、俳優というだけでなく、作・演出も視野に入っているのでしょうか

 

河原 いえ、基本的には俳優です。とくに作劇はその最初のときぐらいしかやっていないですし。ただ、演出はこのあいだ広島の劇団の方でまた少しやって、もしかしたらそちらの可能性もややあるか、とは思いつつ、でも基本はほぼ俳優だと考えています。

  ───それでは、俳優としての河原さんが、現時点でご自身の演技へのアプローチ、演技観をどのように言語化していらっしゃるか、ということを伺ってよろしいでしょうか。ちょっと抽象的な質問になってしまいますが

 

河原 そうですね……それこそ、広田さんにあるリアリズム演技への志向というのは僕にも強くあって、まず、戯曲に対して、登場人物の持っている目的と、その障害、そしてそこにある葛藤を見出していくということからはじまり、相手役のことをどう見ているか、どう思っているか、局面局面では相手の台詞のどこに引っかかって、どうやって自分の台詞が出てくるのか、なるべく自分の次の台詞が出てくるきっかけを相手役や外部に持っていく、ということを考えていく。身体や声といったことを切り口にするよりは、リアクションを積み上げて、相手役とのかかわりのなかで何かが出る、ということのための準備に注力する。そういうことが自分のやりたい芝居かなと思います。

  ───かなり正統的なリアリズム演技のアプローチだなと感じます。そのような考え方を持っている方って、戯曲読解も正統的で、読書が好きだったりということが多い印象があるのですが、河原さんの読書遍歴など伺ってみてもよいでしょうか

 

河原 僕は大学で最初文学を専攻していて──その大学はカリキュラムが特殊だったので色々取れて、結局僕は「教育」「英語」「文学」「認知心理学」みたいな専攻テーマになったんですが──とくに最初の一、二年は文学をしっかりやって、日本文学、英米文学のいろんな時代の小説を読むということはしていました。テクスト論、作家論といった観点で作品を解釈していくということも含めて。そこで培われたものというのはあると思います。

  ───一口に小説と言っても近代小説から現代小説まで幅が広いですが、とくに河原さんが惹かれた作家や作品というのはありますか

 

河原 日本の作家だと、安部公房がすごく好きです。海外だと、一番は『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』。あれは児童文学というくくりでポピュラーになっていますけれど、本来は言語学だったり、或いは数学だったり論理学だったりの問題をかなり含んでいる作品で、だからこそ様々な知的な関心を持つ人の心をつかんで放さない魅力があるのだと思います。僕も原作を読んで、いくらでもここから考えられることがあって面白いなと感じましたし。『アリス』は本当に、すごく好きですね。

 

───どちらかというと非リアリズム的な嗜好ですね。そんな河原さんが『崩れる』の人物をどう演じられるのか、楽しみにしたいと思います

 

アマヤドリ 20周年記念公演 第一弾

『崩れる』

 作・演出 広田淳一

2021年 11月4日(木)~8日(月)
@シアター風姿花伝(東京公演)
2021年 11月13日(土)

@パティオ池鯉鮒・知立市文化会館│花しょうぶホール(愛知公演)

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