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『崩れる』出演者 – 宮川飛鳥

 

長野県・福島県・新潟県出身、1993年生まれ。

2020年に本格的に俳優を目指し上京。

 

 

Interview

  ───まずは宮川さんの演劇歴といったところからお訊きしていきたいと思います。宮川さんは、どういったところから演劇をはじめていったんでしょうか

 

宮川 演劇自体をしっかりはじめたのは三年前、新潟で、大学院で教員免許を取っているときにだいぶ時間の余裕ができたので、自分がやりたいことをやってみようと考えて、新潟のワークショップに参加したのが最初ですね。

  ───それまで観劇などはされていたんですか

 

宮川 いえまったく。でも、僕高専だったんですけれど、その文化祭での出し物で、僕たちの学科は映画のリメイクみたいな短編を作って全校生徒の前で発表する企画をやることになって、なぜかクラスの人たちから「この主役は飛鳥がいいんじゃない?」って言われて、一、二ヶ月ぐらい映画作りで俳優的なことをやった経験はあるんですね。そのとき、お芝居って面白いんだなと実感したことはありました。ただ、そのときはまだ、僕のなかではお芝居=芸能界というイメージだったので、演劇をやるという選択肢がそもそも浮かばなかった。そして、実は大学に入ったときに一応演劇部も覗いてみたんですけれど、全然面白くなくて、やはり演劇からは縁遠くなっていたんですが、数年経ってから、「でもちょっとお芝居やってみたいな」という気持ちがまた芽生えて、演劇部ではなく外部の劇団でやってみようかということで、お芝居に足を踏み入れた。そうしたら、ハマりにハマってしまって……今ではもう趣味ではなくなってしまったという次第です。

  ───そして広田さんと出会って……

 

宮川 本格的に演劇をはじめて半年ぐらい経ったときに、新潟で、広田さんが『ブタに真珠の首飾り』を新潟の俳優で上演するということで、募集していたのは女性だったんですが、興味ある人は男性でもWSオーディションに参加していいということだったので、参加させていただいたのが、広田さんとの出会いでした。当時は僕はアマヤドリの舞台を全然観たことがなかったですけれど、東京に行った高専時代の友だちが、『野がも』と『天国への登り方』を観たらしくて、「おまえ最近演劇やってるって言ってたよね。だったら、アマヤドリって劇団チェックしておいた方がいいよ。めちゃくちゃ面白いから」と連絡してきてくれたこともあって、広田さん・アマヤドリのことを知ってはいたんです。

  ───はじめてから半年、というとかなり短期間ですけれど、それまでの宮川さんの演劇観というのはどういうものだったのでしょう。演劇と一言で言ってもいろいろありますが

 

宮川 さっき言った、僕が最初に参加したワークショップというのが、ロシアに留学したこともある、東京で演劇を教えている講師の方の、スタニスラフスキー・システムにのっとったワークショップだったんですよね。だから、僕が演劇にハマっていったきっかけはリアリズム演技でしたし、それもあってアマヤドリのやっていることが面白いと自分は感じます。相手役とかかわる、相手役からもらったもので動き出す、……といったようなことですね。

  ───なるほど。アマヤドリのやっていることは、どちらかと言うと、エンターテイメントというより純文学寄りですけれど、それを面白いと思う資質が宮川さんには元からあったということだと思います。演劇以外で、宮川さんが好んで読んだり観たりするような作家、作品はありますか

 

宮川 いやー、本当にまったく、謙遜ではなく、本とかをほとんど読んでこない人生だったので、自分の教養力のなさに恥じ入るんですけれども。二十歳まではずっとサッカーをやっていましたし。ただ、友だちに勧められて読んだことがあるのが、村上春樹。村上春樹は何冊か読んで、好きだなと思った作家でした。

  ───村上春樹を楽しめるなら、純文学を受け容れる素養があると言ってよいと思いますよ。読みやすい文体の作家ですが、フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーといったアメリカ文学がバックボーンにある本格的な書き手ですから

 

宮川 でも、まだまだ足りていないとは感じています。だから、俳優として自分の武器になるものを見つけたいなというのが、目下の課題ですね。一つ、気質として、自分は全然人見知りしなくて、とくに苦手な人もなくコミュニケーションを取っていける、たくさん人とかかわれるという点は長所かなと思うので、そういう面をお芝居にも活かせないかな、と考えています。先輩に甘える、というわけではないですけれど、人と対話して経験を深めていく、ということをこれまでの人生で自分はやってきた方だなと思うので。

 

───そんな宮川さんの、『崩れる』を通しての成長を期待しつつ、上演を楽しみにしたいと思います

 

アマヤドリ 20周年記念公演 第一弾

『崩れる』

 作・演出 広田淳一

2021年 11月4日(木)~8日(月)
@シアター風姿花伝(東京公演)
2021年 11月13日(土)

@パティオ池鯉鮒・知立市文化会館│花しょうぶホール(愛知公演)

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