なんだか暑くなってきた。この夏、三人芝居をふたつ作ってみる。きっかけとなったのは、小角まやとワタナベケイスケという今やアマヤドリの古株となったふたりが昨年末からのアマヤドリの公演ラッシュと見事にタイミングが合わず、うちらもなんかやりますから、と声を上げたことだ。で、せっかくだから、ゴリゴリの会話劇を、それも激しいやつをやってみようじゃないか、という話になった。
どうなっていくのかわからないことも多いが、きっとこの二作はコインの表と裏のようなふたつで一つのモチーフを追った作品になるんだろう。そして、この二作は「潰し合い」ってことを扱った作品になるんだろう。「抹消」と「解除」という単語からすでにお察しの方もいるだろうが、これはキャンセル・カルチャーにまつわる連作だ。誰かが誰かを許せなくて、許さなくて、そして、許さないやつを許せない、なんてやつが出てきたりして物語は紛糾していく。人々がダイバーシティ、すなわち多様性を包摂する、社会的公正に満ちた世の中を目指す一方で、いや、目指すためにこそ、不寛容な攻撃性を娯楽として消費する世の中が出現しつつもあるわけで、今作では、許し合えない人たちの、剥き出しの「潰し合い」について描いていく。なんだか熱くなりそうだ。
というわけで、この夏、みなさんにお会いできることを楽しみにしております。換気しまくって今一つ冷房の効かない感じになったスタジオ空洞にて、お待ちしております。
アマヤドリ主宰・広田淳一