広田淳一の戯曲ページです。演劇界の更なる発展と広田個人ならびにアマヤドリの売名のために、いくつかの戯曲を公開いたします。
※公演の有料・無料を問わず、上演料無しでご利用いただくことが可能です。
※戯曲の改変に関しても柔軟に対応いたします。その際、作者名の表記についてはご相談ください。著作権を放棄しているわけではありません!
※稽古場、ワークショップ等でのご利用に関してはご連絡いただく必要はございません。
※上演の際は劇団までご一報ください。→連絡先
僕は「演劇」を作りたくて創作を行ってきました。
その過程でいくつかの「戯曲」を書くことになりました。
僕にとって「戯曲」は完成品のようなものでもあり、
作品の一部を構成するパーツのようなものでもあります。
過去に自分が作ったパーツを使って誰かがまた新しい「完成品」を作ってくれたら、
こんなにうれしいことはありません。
長期的には、私たちはみんな死んでしまう。
ハイエクという経済学者がそんなことを書いています。
僕のすべての創作が完全に忘れ去られるその日までの間に、
少しでもこいつらが「演劇」を作るために役立ってくれることを願っています。
アマヤドリ主宰 広田淳一
出演者:9名(女3/男6) 上演時間:120分 初演:2009年/再演:2012年
作者解説:ひょっとこ乱舞のリアル路線が明確になった作品にしてアマヤドリ初のツアー作品です。ルームシェア、監禁というテーマも含めて「現代日本」ってのが色濃く出た作品。初演の時は三谷役を3人1役で演じたのでした。
出演者:12名(女6/男6) 上演時間:120分 初演:2006年/再演:2010年
作者解説:最も好きな作品のひとつ。ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』の翻案ですね。原作とはまた違った展開で、ファンタジックな設定が存分に活きた作品なんじゃないでしょうか。ベタな恋愛ものですが、言葉遊びとしてはいちばん上手くいった作品だと思います。まあ、でもとにかくしんどい戯曲なんですよ。自分では当分演出しないと思いますね、はい(笑)
出演者:4名(女2/男2) 上演時間:90分 初演:2009年/再演:2013年
作者解説:「ルスバンズ」っていう別ユニットでやったのが初演。少人数でほどよくまとまった作品なんじゃないでしょうか(笑) いわゆる会話劇ってやつを初めて書きました。あんまり毒は無いけど、プロットは妙にきっちりしてる。ケンカあり、ポエムあり、どんでん返しありと、にぎやかな展開です。どことも言えない砂漠の街を舞台にした年代不詳の物語で、池亀三太くんにも演出してもらったな。
出演者:約21名(女7/男14) 上演時間:130分 初演:2012年/再演:2013年
作者解説:ひょっとこ乱舞のラストを飾った作品。自信のある戯曲のひとつです。広田版ロミジュリとでもいいましょうか、なかなか盛り上がる展開です。痛覚の無い男と、絶頂に達しすぎる女の話を、政治的なドラマでまぶしてみました。再演で冒頭のリーディング部分を加筆して、わかりやすくなったんじゃないかな。男連中のたくさん出る芝居なのでその雰囲気が気に入っています。
出演者:2名(女1/男1) 上演時間:15分 初演:2011年
作者解説:震災復興イベントのために書き下ろしたリーディング作品。自分の体験したことをかなり現実に則して書いた作品です。2人芝居なんですが初演は6人でやりました。深谷由梨香さんに出てもらったりしてね。『うれしい悲鳴』のコア部分になっているのはこの作品で描かれている情景です。写真は『うれしい悲鳴』から。
出演者:18名(女8/男10) 上演時間:130分 初演:2011年/再演:2016年
作者解説:ようやく書き直しての再演が出来ました。ある男の「死」という現実をそれぞれの人間がどうやって受け止めていくかを巡る物語。死後も更新されるブログを軸にあれやこれや人間模様を描いてます。強く現代日本、そして東京にこだわって書いた作品です。
出演者:2名(女2) 上演時間:50分 初演:2003年/再演:2007年
作者解説:本当に懐かしい(笑) もういま読むとあれこれツッコミどころは満載なんですが勢いだけはある作品です。もう書けないな、こういうのは。女性2人で演じることができるので昔は新人の女優さんには必ず取り組んでもらってました。コインランドリーで女の子が入れ替わる、かわいらしいお話です。
出演者:11名(女6/男5) 上演時間:90分 初演:2007年
作者解説:これは実験的な作品でしたね。観客一人づつにポータブル・ラジオを配って二重音声にしてみたり、入場の時にお客さんのメアドを聞いて上演中に俳優からメール送信したり、観客からのメールを舞台上の掲示板に反映してみたり、とね。開演から30分ぐらい中村早香が舞台上で死んでいたので「寝ないで動かないで」のダブルバインドに苦しんでいました(笑) 内容は意外とダークで、ネグレクトのダメママがひたすら現実逃避をし続けるという、出口のない作品です。
出演者:任意 上演時間:20分程度 初演:2010年ごろ
作者解説:ワークショップ発表会用に書いた短編劇詩。出会いについての短いテキストです。参加者全員に全文を覚えてもらって即興的に台詞を言う、なんてことにも使いました。写真は北海道公演の際の小角まや(右)と田中美甫。本編とは何の関係もございません。
出演者:30人ぐらい 上演時間:140分 初演:2004年/再演:2007年
作者解説:個人的、初期ベスト。ゴチャゴチャしてますが、なんだか鬱屈したエネルギーが暴走しております。いつかまたやりたいとは思うんですがね……。「パニック」をビジネスにする会社の興亡とその周囲の人間模様を描いた一大絵巻です。10年前にこれを書いた私はえらい(笑)
出演者:15人(女9/男6) 上演時間:120分 初演:2005年
作者解説:これは遅まきながら僕なりに9・11に反応して戯曲を書いてみた、という作品なんですかね。当時何を考えていたのかもうあんまり思い出せませんが……。『カラマーゾフの兄弟』に憧れてとにかく三兄弟を出せば面白くなるんじゃないか、とか考えていたことは覚えています。
『旅がはてしない』初演最終稿
出演者:15人(女7/男8) 上演時間:120分 初演:2005年/再演:2009年
作者解説:あえて初演の際、上演に使ったものを。もうなんというかお世辞にも上手じゃないですね(笑) でもなんというかここから始まったものがたくさんある。自分たちの転換点になった作品のひとつだろうと思います。
出演者:14名(女7/男7) 上演時間:120分 初演:2008年
作者解説:宇宙とお茶の間を強引につないでやろうという想像力の下に書かれた一作。観念と実生活を宇宙という小道具を使ってなんとか接合しようとしたんでしょうね。最先端の宇宙物理学をかじってなんとかハイSFとして書こうという野心に満ちています。ま、それが上手くいっているかどうかは別問題ですが(笑) 今でも自分の中ではとても大切な一作です。
出演者:7名(女4/男3) 上演時間:120分 初演:2014年(シアター風姿花伝)
作者解説:2014年に相次いで上演した「悪と自由」の三部作。その第一弾がこれです。ストーカー殺人の加害者と被害者遺族、そして加害者の更生を支援するソーシャルワーカーたちを通じて「個人の悪」と向き合った作品です。比較的少人数で上演可能ですし、使う道具も机とイスでほぼすべて、というコンパクトな作品になっております。俳優が演じるということに集中できる戯曲なんじゃないかと思います。2015年には福岡で再演しました。またこの作品であちこち行きたいですね。
出演者:27名(女14/男13)上演時間:150分 初演:2012年/再演:2016年
作者解説:出演者の多さ、話のスケールの大きさ共にアマヤドリ最大の作品といっていいんじゃないでしょうか。質的にもかなり自信のある作品です。苦心惨憺しながら上演にこぎつけた初演版を時間をかけて書き続け、2016年にようやく完結を見ました。チベット人たちの焼身抗議をモチーフに現代日本、そして戦後の日本のあり方を問う野心作です。
出演者:9名(男のみ)上演時間:110分 初演:2017年
作者解説:ちょっとした革命と言いますかこの作品以降、広田の戯曲には同時に発話するための記号が多発することになります。まだまだ記号が完全に使いこなせていない気もしますが、それでも発話の重複部分を文字上で再現・制御できるようになった意義は大きい! と、広田が一人で興奮していた作品です。アマヤドリには珍しく、演劇的な設定の一切ない、サラリーマンたちが単に旅館でしょうもない喧嘩をする、というただそれだけの会話劇です。ものすごく台詞を覚えづらいらしいので上演する方は心して取り組んでください!
出演者:4名(女のみ)上演時間:80分 初演:2018年
作者解説:音声重複のための記号を多用した重複系会話劇の第二弾です。というか、用語決めてないな。。なんて呼ぶのがいいのだろう……。ともあれ、女性四人のみで行われる結婚式の控室を舞台とした、非常に上演しやすい一作となっております! 成人女性たるもの結婚式用のドレスのひとつぐらいは持っているもの、ということで出演者の衣装は本人の自前で調達できることうけあい。あとはソファと机、お茶セットがあればそれで準備は完了です! 姉と妹に挟まれて育った広田の女子力を総動員して臨んだ女の闘い、マウンティングと気の遣い合いと疑似恋愛と友情と憧れと、そんなものがこってり詰まった一作です。
出演者:4名(女2男2)上演時間:75分 初演:2019年
作者解説:ホテルの一室で完結する二組の男女のやり取り。若い男女と、壮年の男女、それぞれの密室での会話です。空間の移動は一切ありません。四人芝居とはいえ、大部分が二人芝居で構成されているため大変稽古日程が組みやすい作品となっております笑 音声重複のための記号を多用した重複系会話劇の第三弾です。
『無題のム』原作:太宰治(『ロマネスク』『葉』より) 構成・脚色・翻案:広田淳一
出演者:7名(男女同数程度) 上演時間:60分 初演:2005年
編者解説:太宰治の小説を脚本化した作品です。大好きな『ロマネスク』に『葉』の断片をかけあわせて合体させてみました。どちらも太宰の処女小説集『晩年』所収の作品です。これはいいですよ。初期太宰の本当に良質な部分が見られる作品で、後期の『斜陽』やら『人間失格』やらでしか太宰を知らない人には新鮮な驚きがあるんじゃないでしょうか。語り部太宰の面目躍如といった作品をいい感じのサイズにまとめてみました。
『HUMAN LOST』原作: 太宰治(『HUMAN LOST』より) 構成・脚色:広田淳一
出演者:5名(性別任意) 上演時間:20分 初演:2010年
編者解説:太宰治が薬物中毒の治療のため強制入院させられていた時期の日記をもとにした小説、『HUMAN LOST』を脚本化しました。この小説はのちの『人間失格』へと繋がっていく重要なものではあるんですが、まあ、要するに愚痴を綴った日記です(笑) Project BUNGAKUという太宰作品を4つ並びて上演する企画に出品したのでした。見事、観客投票ダントツ最下位を獲得した本作ですが、一部マニアには大ウケしたポストドラマ趣向の強い作品となっております。僕は今でもうちが一番おもしろかったと信じています←。写真一番右には広田作品初出演の榊嬢の姿が! 奥にぼんやり見えるのは中村早香の生霊です。